マロフェーエフ氏はビジネスマンとして活躍する傍ら、プーチン政権との関係も深い政商。今回のウクライナ危機では『ウクライナ東部に非合法武装勢力を設立した容疑』でウクライナ内務省から指名手配されている。
このようにウクライナ情勢と縁浅からぬ人物の提案とは如何なるものだったのか。以下、『スヴァボードナヤ・ガゼータ』に掲載された6項目に渡るウクライナ分割計画の内容を翻訳し、2回に分けてご紹介する。
「ウクライナ東部をロシアに統合するよう提案する」
『スヴァボードナヤ・ガゼータ』2015年2月24日
(前略)
1. ウクライナにおける政治的状況に鑑みるに、我々はまず、ヤヌコヴィチと彼の支配「ファミリー」が政治的に破綻し、政治プロセスに関するコントロールを喪失しつつあることを認識する必要がある。
第2に、中央政府は麻痺しており、ロシア政府が交渉できる政治主体は存在していない。第3に、2014年2月4日にヤヌコヴィチが宣言した前倒しの大統領選及び議会選による合意でこうした主体が出現する可能性はほとんど存在しない。
ロシアにおいては強力な官僚団がオリガルヒ(新興財閥)に拮抗しているのに対し、ウクライナの国家機関はオリガルヒの政治力よりも弱体である。公共政治の分野と同様、彼らはオリガルヒによってコントロールされている。
最高会議及び組織化された反政府勢力を支配しているのはこれらのオリガルヒ(リナト・アフメトフ、ディミトロ・フィルタシュ、イーゴリ・コロモイスキー)である。突発的に発生した反対運動(いわゆる「マイダン」)は組織化された反対運動のコントロール下にない。そのトーンは「野戦指揮官」たち(その多くはサッカー・ファンや犯罪者グループのボスである)によって決定さており、選挙による支持やオリガルヒ・グループの明確なコントロールを受けていない。彼らをコントロールしているのはポーランドや英国の特殊機関である。と同時に、多くのオリガルヒはヘッジを掛けるためにマイダンに資金援助を行ってもいる。
ヤヌコヴィチ大統領はモラルが低く、優柔不断な男である。彼は大統領の座を明け渡すことを恐れており、同時に、治安機関の隊員たちを彼の大統領職を守るための生け贄にするか、大統領の座を去る際の免罪符にするつもりである。ちなみに、キエフでの騒乱を鎮圧するために用いられているベルクート(訳注:ウクライナ内務省の機動隊で、前述の「治安機関の隊員たち」を意味する)は主にクリミアやその他の東部出身者で編成されている。
現地の報告によると、誰がヤヌコヴィチの後釜に座るにせよ、内務省及びSBU(ウクライナ保安局)に対してマイダンの弾圧に対する懲罰として報復を行うつもりであり、これに対して強い反発が起こるであろう。
より苦しい立場にあるのはウクライナ軍である。ウクライナ国防省筋によると、彼らは「基地に閉じこもり、将校達が武器庫を警護している。恐ろしいことだが、これは契約軍人達に武器が渡らないようにするためであり、そうなった場合には互いに銃火を交えることとなろう」という。