Wedge REPORT

2015年3月20日

»著者プロフィール
著者
閉じる

山下一仁 (やました・かずひと)

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

東京大学法学部卒業後、農林省に入省。農林水産省ガット室長、地域振興課長などを歴任。2008年農林水産省退職。10年より現職。経済産業研究所上席研究員を兼務。ミシガン大学行政学修士・応用経済学修士、東京大学農学博士。

 この預金の1~2%しか衰退している農業には、融資されない。農協は地域の人を准組合員に勧誘することで、預金の3割を住宅ローンなどで貸し出した。今では、准組合員が農家組合員を75万人も上回っている。預金の残り7割は農林中金がウォール街で運用している。農業を弱体化し、自らは脱農化することで、農協は発展した。

 どの国にも政治団体はある。しかし、農協のように経済活動も行っている団体はない。しかも、農協の政治的・経済的利益が、高い価格維持と結びついている。農協が守ろうとしているのは、組合員である農家や農業の利益というより、農協自身の利益である。

 農協の政治活動の中心だった全中(全国農業協同組合中央会)や都道府県中央会に関する規定を農協法から削除するよう主張した安倍政権に対して、全中は、監査権限は農協法に規定すべきだと主張した。地域の農協をコントロールする重要な手段だからだ。全中の強制監査をなくし、全農を株式会社化し、独禁法を適用すれば、農業資材価格が低下するので、農家の所得は向上する。価格が安くなれば、消費者は利益を受ける。

 結局、

・全中に関する規定を農協法から削除し、全中を一般社団法人とする
・地域農協は全中監査と監査法人の監査を選択できるようにする
・都道府県の中央会は引き続き農協法で規定する
・株式会社化は全農が判断する
・准組合員の事業規制は見送る

 という内容で、決着した。

関連記事

新着記事

»もっと見る