2024年11月16日(土)

地域再生のキーワード

2014年7月31日

熊本・菊池市の酒屋である『渡辺商店』。全国的に有名になった「ごぼう茶」を発明した。
その後も新たな商品開発を進め、農家からは“言い値”で農産物を買い取る。作る人と売る人の役割分担が、消費者に信頼させる商品作りにつながっていた

Data 熊本県菊池市
人口:50,588
世帯数:18,453
主な産業:農業生産額のトップ3を肉用牛(76億円)、乳用牛(60億円)、豚(40億円)と畜産が占める。
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 熊本駅からバスで小一時間。阿蘇山の北西麓に広がる菊池市は美肌の湯で知られる風光明媚な土地柄だ。ところが町の中心はご多分に漏れず「シャッター街」が続く。そんな商店街から、さらに路地を入ったところに、その活気に満ちた店はあった。

 有限会社渡辺商店。活気といっても客が溢れているわけではない。ところが従業員は忙しそうに動き回っている。それもそのはず。もともとは酒の小売りが本業だったが、代表の渡辺義文さん(42)が通販サイト「自然派きくち村」を立ち上げ、大ヒットしているのだ。顧客は北海道から沖縄まで全国におり、年商は2億円を超える。

 「この地域には素晴らしいものがいっぱいある。それに一段と磨きをかけて全国に売っています」と渡辺さん。無農薬・無化学肥料栽培のコメや、雑穀、野菜のほか、工夫を凝らした加工品がホームページに並ぶ。

菊池特産の「水田ごぼう」を無農薬で作る村上活芳さん(右)の畑を訪ねた渡辺義文さん(左)

 「自然派きくち村」がブレークしたきっかけは「ごぼう茶」。全国的なブームのさきがけとなった。

 菊池の「水田ごぼう」は、柔らかく、香り豊かなことで知られ、大都市圏の高級スーパーでも高値で売られる。名前の通り、おコメを作る水田で、コメ作りをしない時期に作られる。いわゆる「裏作」だ。当然、菊池で田植えが始まる6月中旬より前には収穫するから、4月から6月にかけて、一気に出荷のピークが来る。


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