米中間の「新型の大国関係」の概念につき、ハドレー元米安全保障担当補佐官らが、中国側が「核心的利益」への言及をやめるのであれば、米国はそれを受け入れる余地があり、協力関係を進めるべきである、とForeign Affairsウェブサイトの2月22日付けスナップショット欄で述べています。
すなわち、米中関係は堂々巡りを続けている。現在の焦点は、習近平が提唱する「新型の大国関係」である。2013年のカリフォルニアでの首脳会談で、習は、同概念の3つの根本的原則は、衝突・対抗をしない、両国の核心的利益と重要な国益を含めた相互尊重、ウィン・ウィンの協力、であると言った。
厄介なのは、中国が「核心的利益」の尊重を求めていることである。中国が言う核心的利益は元来、台湾、チベット、新疆であるが、不明確で変化している。2014年4月に中国外交部の報道官は、「釣魚島(尖閣)は中国の核心的利益に含まれる」と言った。従って、米国が中国の核心的利益の尊重を示せば、日米同盟の根幹を損ねる。南シナ海も核心的利益に含まれようが、これも同様の問題をもたらす。さらに、核心的利益は、関係正常化以来、両国が「合意しないことに合意」してきた台湾問題を含んでいる。新型の大国関係の出発点は米中いずれかがこうした分野で直ちに譲歩することである、という考えは、懸念すべきであり非現実的である。
昨年11月の北京での首脳会談で、習が新型の大国関係の基本原則を3つから6つに拡大し、その定義をより入念なものにしたのは、特筆に値する。中国側が、イラン核問題、朝鮮半島非核化、テロ対策、感染症対策といった、戦略的協力を行いやすい分野を含めたのは、ポジティブな側面である。米国は、こうした分野で、協力の質を高める機会を捉え、「新しいモデルの関係」を推進するべきである。
ネガティブな側面は、核心的利益の尊重が再び含まれていたことである。習は、「両国が相互に主権と領土の保全を尊重すること」「相互に核心的利益に反する行動をしないこと」を提案した。これは、米国の懸念を認識していることを示す修正だが不十分であり、核心的利益の条項は、その文言が除去されるか完全に明確化されるまでは、障害であり続ける。