2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月2日

 中国の島建設の究極的計画は明らかでないが、埋め立て計画が米国や中国の隣国にとっていいことはない。南シナ海紛争の真に平和的な解決は一層困難になった、と述べています。

出典:Michael Mazza‘China's Dangerous South China Sea Challenge’(Real Clear Defense, February 26, 2015)
http://www.realcleardefense.com/articles/2015/02/26/chinas_dangerous_south_china_sea_challenge_107669.html

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 中国は南沙諸島に着々と人工島をつくっており、それは中国沿岸部の防衛のためだけではなく、南シナ海で力の投影を可能にするものであり、南シナ海の沿岸国、豪州、インドのみならず、南シナ海をシーレーンとする台湾、日本、韓国、そして言うまでもなく米国にとって新しい挑戦である、とマッザは言っています。おそらくその通りでしょう。

 中国は一方的に南沙諸島の領有を宣言し、その上南沙諸島は中国にとって核心的利益であると言っています。中国はその前提に立って、今後も人工島の建設などを進めるでしょう。

 論説は、中国の行動が関係国にとって新しい挑戦であるとだけ言って、その挑戦にいかに立ち向かうべきかについては何も述べていません。実は、そこが重要なのです。

 関係国はまず、中国の行動についての情報を共有すべきです。たとえば、アセアンの会合において、フィリピンやベトナムなど直接の関係国は、中国の最新の行動につき報告すべきでしょう。アセアンが全体として中国に抗議することなどは困難でしょうが、少なくとも情報を共有することが望ましいと思われます。

 そのうえで、関係国は、中国の一方的な行動が国際規範に反することを、その都度明らかにすべきです。

 南沙諸島における中国の行動は、日本にとっても他人事ではありません。重要なシーレーンを中国が妨害することは許されません。米国、豪州はじめ利害関係国と共同で、中国の行動をけん制する必要があります。

 南沙諸島に対する中国の進出は、基本的には軍事的進出です。それに立ち向かうためには最終的には軍事的措置によらざるを得ません。米国を中心にいかなる軍事的対抗措置が可能で有効かを検討する必要があります。

  
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