田部康喜のTV読本

2015年4月8日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

作り手によって紡ぎ継がれる糸

 第1週の「魔女姫バースデーケーキ」(3月30日~4月4日)によって、小学校時代の希と家族、そして外浦地区に移住して出会う人々がいきいきと描かれる。この週の最終日にいたって、高校生の希が登場し、小学校時代の同級生たちも成長した姿をみせる。

 希も同級生たちも、小学校時代の子役の表情を対比してみせるのであるが、まるでそれが実際に年齢を重ねたようにみえた。これもまた過去の映画「二十四の瞳」(1954年)を思わせる。学園ドラマというジャンルがそうであるように、映像の世紀といわれる20世紀の映画とドラマは、作り手によってその糸が紡ぎ継がれていくのである。

 希と父の徹は、誕生日が同じである。菓子作りが好きでパティシエになることを夢見ていた希は、バースデーケーキを作る。ところが、地区の祭りの準備の会合ですっかりよってしまった徹がよろけて、希がみせようとしていたケーキが畳に落ちて崩れてしまう。

 「わたしは夢が大嫌いです。人生は地道にこつこつと」

 小学校で課題の「夢」という作文にそう書いて、読み上げる希。公務員になるのが将来の人生と決めた。

 大きな夢を追っては失敗して、家族に迷惑をかける父をみてきたからである。

 ひとたびは反省して、地道に働くことを誓った徹であったが、再び上京して希が高校生になっても帰ってこない。

 どこにもないような家族にみえて、妻の藍子は徹に対する愛を失ってはいないようである。

「あまちゃん」の展開を彷彿とさせる

 第2週「告白シュークリーム」(4月6日~11日)に至って、徹が帰ってくる。ここでも、希が作ったクッキーやシュークリームが登場する。

 パティシエに向かって進もうとする希の未来を暗示している。番組宣伝では、すっかりその方向性を明らかにしている。ドラマの展開によほどの自信があるに違いない。

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