「災間社会」とは、歴史学者の磯田道史氏がとなえている。東日本大震災後の社会のありように対して「災後社会」と呼ばれてきたことに対して、歴史の光をあてる。
列島に生きる私たちは、襲ってきた災害と次の災害までの時間を生きている。
東日本大震災の犠牲者に対するレクイエム(鎮魂歌)を奏でながら、そこから教訓を読み取って、次の災害に備える準備をしなければならない。
「イメージする力は、
次の災害で生き残る希望につながる」
NHKスペシャルは、東日本大震災によって引き起こされた社会の変動を示すビッグデータを積み重ねることによって、災間社会の課題を探り続けている。シリーズのFile.4「いのちの防災地図~巨大災害から生き延びるために~」(3月10日放映)である。
次の巨大災害は、南海トラフ地震である。今後30年間に起きる可能性は60~70%と予測されている。震度7の地震が発生し、九州から東名阪に至る広範囲に、最大で34mの津波が襲う。
地震直後から1週間で、避難者は東日本大震災の19倍に相当する950万人にも及ぶ。大阪で77万人、名古屋で37万人と推定されている。
長年にわたって南海トラフ地震の脅威について警告してきた、高知大学の特任教授である岡村眞さんは次のように語る。
「防災とは最悪の事態をイメージする力です」と。そして、ビッグデータの解析によって、新しい防災地図を作る必要性を力説する。「イメージする力は、次の災害で生き残る希望につながります」
高知市の下知地区の防災地図づくりが実例である。
この地区の住人は、1万6000人。1946年に発生した「昭和南海地震」の際には、1カ月間も水没した。