2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年4月9日

 コンデンセートの輸出については、コンデンセートに最低限の加工を施すことで燃料と解釈し、輸出を可能にしました。米国の現行法では原油は輸出できませんが、ガソリン、ディーゼルなどの燃料は輸出できます。しかし、米国国内の原油生産を大幅に増やすためには、やはり原油輸出の全面解禁が必要でしょう。

 ただ、オバマ政権にはジレンマもあるようです。原油輸出の解禁で一番恩恵をこうむるのはシェール生産者ですが、シェールの増産には環境保護主義者が懸念を表明しています。環境保護主義者が問題視していることの一つは、シェールガスやシェールオイルは化石燃料(単に埋蔵している地層が異なるだけ)でありCO2を排出することに変わりないではないではないか、という点です。オバマは気候変動への対応をレガシーにしたいと考えているので、シェールの増産を、諸手をあげて歓迎できないようです。それでも、昨年6月にオバマ政権は、行政権限によって発電所のCO2排出量を削減するという、事実上石炭を天然ガスで置き換えていく、シェール層開発に追い風となる方針を打ち出しましたが、これは、環境保護派ではなく、石炭産出州の議員から猛反発を受けました。

 日本にとって、米国の原油輸出解禁が、原油の輸入先の多角化の観点から歓迎すべきであることは、言うまでもありません。そして、日本が米国産の原油を輸入する意欲を示すことが、米国の原油輸出解禁への一つの梃子になり得るかもしれません。

  
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