あの負けがあってこそ

2015年5月15日

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 この時に同行したのが親友だった。

 「友紀、カナダ行くんでしょ。私も行くよ」

 突然の電話だったが、気持ちが通じ合っていたのが嬉しかった。

 「前年(2000年)優勝したのがカナダだったのです。私は日本代表でもないのにカナダにアルティメット留学に行きました。まずは飛び込んでやろうとバンクーバーに行ったのですが、そこで3カ月間いっしょにプレーをしてみて、日本人には負けないものがあると思いましたし、『日本は世界一になれる可能性がある』という感覚を掴みました。はっきりとはしていなかったけれど、それが感覚的にわかったので『絶対に叶えてやる』と心に決めて帰国しました」

 森によると、外国人選手は「個」が強く(筆者の解釈では、身体的にも強く、主体的な意思表示も強い)、それが強みの反面、何かが起こったときに「個」が強すぎてまとまりに欠ける。それに対し、日本人はチームとしてのまとまりがある反面、「個」が弱い。しかし、その日本人らしい「まとまり」を強みとして活かせばいい。その「まとまり」こそが、日本人が世界に通用するところではないか、と考えたのである。

 カナダ留学で得たものは大きかった。

 「日本代表に選ばれなかったことによって、私はカナダに行って世界一を見ました。一度世界一を見てしまうと日本代表に選ばれることが通過点に思えてきたのです」

 「学生時代は日本代表になることがゴールのように考えていたのだと思いますが、カナダ留学をきっかけにチームのことだけではなく、自分個人のことも描けるようになりました」

 「日本代表が通過点と思えるようになった時点で、私は強くなれたと思っています」

「自分との約束を守る」ことで自信をつける

 森は日本代表落選後、自分に課したことがあった。それは「自分との約束を守る」ことだ。

 「あのときは落ち込んで自信を失ってしまいましたが、じゃあ自信をつけるためにはどうしたらいいんだ、と考えたら、自分を信じられる人間になろうと思ったのです。そう考えると人間は行動が変わります。日々の積み重ねが変わってきます。自分に自信を持つ最善の方法とは、どんなに小さなことでも『自分との約束を守る』ことなんです」

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