さいわい、最近の企業業績は劇的に回復しており、消費税引き上げの物価への影響が剥落する4月以降には実質賃金にも好ましい動きが出てくるとも期待される。
しかし、これで満足してはならない。平均賃金を押し下げている非正規雇用者の処遇問題への対処や労働需給と賃金との相関の回復に努めることも欠かせない。それは、流動性に乏しい労働市場が硬直的な雇用や賃金水準につながっている面もあることから、一層の規制改革を進めることでもある。
また、好調な企業業績に賃金が一層反応することも必要である。そのためには、未だに委縮しているように見える企業マインドを、景気の堅調な回復、超低金利の継続、円安水準の維持そして企業にバランスの取れた経営を促すコーポレートガバナンスコード導入などでもっと活性化させなければならない。
日本経済活性化の判断は色々な指標から行うことができる。労働需給が名目・実質賃金にどれだけ波及するかは、経済学が示す正常な関係への復帰であり、日本経済が失われた20年を乗り越えてようやく経済が正常化・活性化することを示す大きな指標となる。消費税引き上げ後に低迷していた景気は回復に転じており、いよいよ賃金上昇が確としたものとなるか、大いに注目したい。
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