2024年12月6日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2015年4月23日

 4月28日に日米首脳会談が予定されており、そこで環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大きく進展するかが焦点の一つとなっている。ちょうど、米国議会では大統領に強力な通商交渉権限を与える貿易促進権限(TPA)法案が提出され、成立すればTPP交渉妥結に向けた大きな支援材料となる。

 TPPが成立すれば、日本経済には多くのプラス効果がもたらされる。それは、輸出促進に止まらない。意外に思う向きもあるかもしれないが、国内市場が開放されることでの輸入や対内直接投資の促進が日本の経済活性化と成長にもたらす効果も、輸出に負けず劣らず大きい。

 そもそも、経済グローバル化が大きく出遅れている日本にとって、経済の一層の対外開放を経済改革と同時に行う意味は極めて大きい。中国経済が、「改革」あるいは「開放」単体ではなく、「改革開放」の組み合わせで大躍進を遂げたように、TPPや円安を梃子とした改革開放政策が日本経済の早期活性化を強力に後押しする。

日本は最も経済グローバル化が遅れている国の一つ

 日本は世界で最も国内経済の開放が進んでいない国の一つと言える。輸入額の対GDP比を見ても、世界153カ国中148位と最下位クラスにある(図表1)。原発停止による化石燃料の輸入増がなければ、この順位はさらに低くなっていたところである。

【図表1】国別の輸出・輸入対GDP比
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 この低い輸入順位よりも、対内直接投資残高の対GDP比の順位はもっと低い。世界199カ国中196位と殆ど最下位である(図表2)。そして、日本より下位にあるのは、内戦や国政混乱、しかも立地も悪いなどの悪条件で外国企業が投資しにくいネパール、アンゴラ、ブルンジであり、主要国の中で日本より下位にある国はない。

【図表2】国別の対内直接投資残高対GDP比
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