2022年10月7日(金)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2015年4月23日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

新潟県立大学国際経済学部 教授

東京大学法学部卒。日本興業銀行入行。パリ興銀社長、みずほ総合研究所調査本部長、経済産業研究所理事長などを経て2020年4月から現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)。
 

 ここで参考となりうるのが、経済グローバル化で経済成長を果たした中国の改革開放政策である。そして、その改革開放政策で重要なことは、改革と開放が一緒に組み合わされて実施された点にある。

 経済改革を行っても、国内だけでは魅力的な製品・サービスの供給を増やすにも時間がかかるし、供給が増えにくければ需要顕在化にも時間がかかる。対外的に開放されることが、外からの技術や商品・サービスの流入そして雇用創出などにつながって改革を加速させ、より高い経済成長をもたらすのである。

 日本では、アベノミクス第3の矢である成長戦略が速やかな効果を発揮するか注目されている。しかし、国内改革だけで経済活性化するのは時間がかかる。対外開放と一緒に行うことが改革成果を加速させることを見逃してはならない。

総力を挙げてTPP成立と市場開放に取り組め

 ちょうど今、TPP交渉が大詰めに差し掛かりつつある。ここで大事なことは、ヒト、モノ、カネ全般の移動に関する域内障壁をできるかぎり除去したTPPを成立させることである。

 それは市場の対外開放に広がりをつけることで、商品やサービスの価格が下落する余地が増えるからに他ならない。実際、非関税障壁まで削減されれば、関税障壁だけを除去するのと比べてTPPの経済効果が2倍になるとの分析もある(図表5)。

【図表5】TPP等による日本の所得増加効果
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 また、円安もTPPの経済効果を一層大きくする追い風となっている。とりわけ、円安は、輸出を促進させるだけではなく、低コストで進出できる点で対日直接投資促進にも寄与することになる。

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