2022年9月26日(月)

中島厚志が読み解く「激動の経済」

2015年4月23日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

新潟県立大学国際経済学部 教授

東京大学法学部卒。日本興業銀行入行。パリ興銀社長、みずほ総合研究所調査本部長、経済産業研究所理事長などを経て2020年4月から現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)。
 

 さらに、中小企業の中で輸出や対外直接投資をする企業の割合を見ても、日本は主要欧州諸国と比べて格段に低い(図表3)。欧州主要国中小企業は2割前後が輸出しているのに対して、日本の場合は2%台であるし、対外直接投資の割合に至っては0%台である。

【図表3】日欧の中小企業の海外展開割合
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 もちろん、ドイツ、フランスなどの欧州主要国は、域内経済障壁を廃して通貨統合も果たしたユーロ圏にある。したがって、域内交易が極めて活発なこれらの国々と、広域経済連携に加わっていない日本とでは事情は大きく異なる。しかし、それでも日本経済がいかにグローバル化していないかを示す割合であることに変わりはない。

 日本人の外国語の不得手さも、グローバル化の障害になっていると言える。世界的な英語能力テストであるTOEFLのスピーキングスコアで見る日本人の英語会話力は最低点(150カ国中150位)であり(図表4)、グローバル化していないからしゃべれない、しゃべれないからグローバル化しない日本の悪循環を如実に物語っているように見える。

【図表4】対内直接投資残高GDP比と語学力の国際比較
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大きい改革と開放の組み合わせ効果

 では、経済がグローバル化するとどうなるのか。経済を活性化させるということは確実に言える。しかも、経済活性化に寄与するのは輸出や対外直接投資だけではない。輸入や対内直接投資の増加も、進んだ技術、魅力的な商品やサービスの導入、そして国内での競争などを通じて経済の成長や活性化に貢献する。

 効果はすでに実証されている。たとえば、外資が出資した日本企業の生産性が高まっている(慶応大学木村福成教授、同清田耕造教授、2007)、あるいは外国企業の研究開発増加が同産業の日本企業の生産性向上に寄与している(早稲田大学戸堂康之教授、2006)といった分析結果が報告されている。そもそも、世界中のヒト・モノ・カネを活用する方が、国内資源だけを活用するよりイノベーションも加速する道理である。

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