2023年2月7日(火)

エネルギー問題を考える

2015年6月1日

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朝野賢司 (あさの・けんじ)

一橋大学イノベーション研究センター特任講師

京都大学大学院にて地球環境学博士号を取得。産業技術総合研究所を経て、電力中央研究所に入所。17年より社会経済研究所上席研究員と現職を兼任。

 そこで資源エネルギー庁は見通し小委に対して、火力・原子力の燃料費とFIT買取総額を合わせた、いわゆる「電力コスト」[3]を、2013年9.7兆円から5%程度削減し、9.1~9.5兆円にするというロジックを提出した(図1)。これは太陽光バブルを収束させるために決定的な役割を果たす。FIT等による再エネの年間買取総額は2030年段階で3.7~4兆円とし、その内訳は、まず地熱・水力・バイオマスの買取総額(約1.0~1.3兆円)を決め、残り2.7兆円の中で太陽光(2.3兆円)、風力(0.42兆円)としている。したがって、特に太陽光バブルによって膨らんだ太陽光の買取総額について、我が国が再エネに支払える総額の中から上限を示したことは評価できる。

3月の駆け込み1600万kWにより、
累計1億kWに迫る太陽光認定量 

 しかし、買取総額は今年度既に1.8兆円を超えており(図1の左から2番目の棒グラフ)、2.7兆円に抑える制度的な担保は何もない。見通し小委で示された資料をもとに、筆者が推計すると、太陽光の設備認定は、今年3月の1カ月間だけで非住宅用太陽光は約1600万kWもの駆け込み認定が行われ、住宅用と合わせて累計約1億kWにも達している(図2)。

 この数字は、見通し小委において「認定量のうち、運転開始まで至るのは、住宅用は認定量の9割、非住宅用は報告徴収・聴聞の結果を踏まえ6割が導入」としていることから、認定量の2月末実績値から逆算し求められる(後述するように「認定6割が運転開始」の根拠は示されていない)。つまり、FITが導入された2012年7月以降、768万kW(13年3月)、2653万kW(14年3月)、そして約1600万kW(15年3月)と、3年連続して年度末に駆け込み認定が生じたのである(図3)。


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