「本当に千載一遇の幸運を、われわれはほぼ100%生かしたといえるでしょう」
設備投資が急増する背景には、日本の戦前から戦中にかけて培われていた技術力と、「人口ボーナス」と呼ばれる団塊の世代を中心とした若い労働力もあった。
高齢者は少なく、子どもの年齢が低いので、若い労働者は賃金を消費と貯蓄に回すことができる。貯蓄は銀行を通じて、再び設備投資に回る。
下村氏の存在は、日本の将来について、その設計者の必要性を物語る。
「ジャパン・アズ・ナンバー1」といわれたとき、米国は衰退に向かっている、と思われた。日本は21世紀に繁栄を謳歌するものと考えられた。
番組のコメンテーターの経済評論家・堺屋太一氏はいう。
「規格大量生産の産業が廃れたアメリカを負けた、と勘違いをしていたんですね。実はアメリカの産業構造の変化が正しかったのがいまわかっているんです」
野口悠紀雄氏は語る。
「アップルのように、ブランドを確立するのと、販売は自分でやるが、商品の製造は中国を利用しているんです。高度専門サービス業ともいえる分野で、米国は発展を遂げているのです」
NHKスペシャル「ニッポンの肖像」シリーズは、「日本人と象徴天皇」を4月に取り上げ、今回の経済分野、そして6月の「世界の中で」は外交問題をとりあげている。いずれも、新たな証言を掘り起こして、これからの日本の将来を照射している。
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