急速に業績が悪化したシャープ
シャープの業績悪化の原因は、はっきりしている。手がけている液晶パネル、液晶テレビ、太陽光パネルの主要3商品全てが、価格で勝負するしかないコモディティ商品だからだ。液晶も太陽光パネルも中国メーカの製品より性能は上だろう。しかし、その性能の差を正当化する価格を得ることは、コモディティ商品では難しい。シャープの悲劇はコモディティ商品が主力であることだ。3商品の売上高の推移は図-14の通りだ。
さらに、シャープには市場の問題がある。シャープの売上が最も多い市場は、いまや中国なのだ。価格で競争するしかない中国市場の売上が日本市場を上回るようになっている。図-15の通りだ。コモディティ商品を価格競争が厳しい市場で販売するとなると、利益を出すのは容易ではない。
シャープは、今後家庭用太陽光パネル販売などに力を入れるとしているが、立ち直りは容易ではないと思われる。太陽光パネルを売るための金融的な手法の開発など、コモディティ商品を販売するための工夫が必要になる。さらに、コモディティではない、ユニークな商品の開発も待たれる。家電でも英国ダイソンのように、会社設立20年でブランドを確立した企業もある。日本企業にもできるはずだ。
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