2024年7月16日(火)

イノベーションの風を読む

2015年8月31日

BIG4という壁

 長い間、そのトップを独占してきたBIG4と呼ばれる選手たちがいる。ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディー・マレー(イギリス)の4人だ。グランドスラムでは、2004年から今年のウィンブルドン(全英)までの48大会で、この4人以外で優勝したのは5人(6大会)のみで、残りの優勝はBIG4によるものだ。さらにマスターズ1000 では、2011年から今年8月のシンシナティまでの43大会のうち40大会をBIG4が制している。

BIG4のランキング推移(括弧のなかの数字は年齢)
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 BIG4と錦織、そしてスタン・ワウリンカ(スイス)の、それぞれのランキングの推移を表してみた。ワウリンカは、上述したBIG4がタイトルを独占したそれぞれの期間で、2014年の全豪と今年の全仏、そしてマスターズ1000のタイトル(2014年のモンテカルロ)を制している。フェデラーは2004年2月に初めて1位になってから、2008年8月にナダルに奪われるまでの237週もの間、世界ナンバーワンの座に君臨し続けた。その後、マレーが4位に食い込んできた2009年ぐらいからBIG4の時代が始まったのがわかる。

 ちなみに錦織は、まだグランドスラムとマスターズ1000のタイトルは獲得していない。決勝に残ったのも、昨年の全米とマドリッド(マスターズ1000)の2回だけだ。

 いま、そのBIG4の一角が崩れつつある。グラフに赤い線で示したナダルは、昨年、右手首のケガと虫垂炎の手術のために8月からのツアーをほぼ欠場した。今年の全豪から復帰したが、これまでの成績は芳しくない。獲得したタイトルは、ATPツアー500の1つと250の2つだけだ。マスターズ1000以上で決勝に残ったのもマドリッドの1回だけ、6連覇を目指した全仏も準々決勝でジョコビッチに敗れた。その(6月の)時点で、ランキングは10位まで後退していた。

 錦織が、8月のモントリオール(マスターズ1000)の準々決勝で、ナダルに6-2 6-4と一方的な試合で初めて勝って話題になった。しかし、すでにナダルは、BIG4の力を発揮できなくなっていたというべきだろう。


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