参加理由は、北朝鮮、経済、そして……
外交筋によると、中国は当初、関連行事を2日間にわたって行う計画だった。韓国はそれを前提に「軍事パレードのない日だけ参加する」ことを模索したが、中国はその後、日程を1日に短縮した。記念式典の途中で朴大統領だけが退席するという対応は非現実的だから、「軍事パレードを避ける」ことは不可能になったのだという。
朴大統領が出席を決めた理由として、韓国でよく挙げられるのが北朝鮮と経済だ。北朝鮮問題では、中朝関係が悪化しているとはいっても、北朝鮮への影響力という面では中国に期待せざるをえないということだ。この点は日米も否定できない。
だが、韓国がよく挙げる「統一には中国の協力が不可欠だ」という理由には「韓国の考える統一と中国のそれが同じとは、とても思えない」(日本政府当局者)と首をひねる向きがある。この点を冷笑的に見る見方は韓国政府内にもあり、対北政策に携わったことがある韓国政府当局者は、北朝鮮が軍事境界線の南側に敷設した地雷の爆発を契機に南北が緊張状態に陥った事件が8月にあったことで「訪中理由を説明しやすくなったのではないか。あの事件がなかったら、なぜ訪中するのか説明するのが大変だったろう」と話した。
経済についても、中国への依存はどんどん強くなっている。韓国にとって中国は最大の貿易国となって久しく、2009年以降は中国との貿易額が日米両国との合計をも上回る。1980年代までは日米両国との貿易額が全体の5割を超えていたのだが、昨年は中国21%、米国11%、日本8%になっている。
そうした状況を受けて、韓国外交の基本は「安保は米国、経済は中国」となっているのだ。
ただ、貿易相手として中国が重要だというのは、日本や米国、豪州、欧州諸国など、首脳が欠席した国々も変わらない。貿易依存度が高い経済構造で、中国の隣国であるという韓国の特異点はあるのだが、それだけで出席理由とするのは難しそうだ。