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2015年9月25日

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小泉悠 (こいずみ・ゆう)

東京大学先端科学技術研究センター特任助教

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に軍事大国ロシア』(作品社)、『プーチンの国家戦略』(東京道堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版)。『ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。


「エモマリ・シャリポーヴィチ(訳注:タジキスタンのラフモン大統領を指す)に感謝申し上げます。

 何よりもまず、現在のタジキスタンにおける奮闘に感謝の言葉をお伝えしたいと思います。

 タジキスタンは我々の戦略的パートナーであり、同盟国であるということを申し上げておきたい。ここタジキスタンにおいて、皆さんは多くの問題、明白な攻撃、情勢を不安定化させようとする企てに直面しています。同時に、次のようにも申し上げたい。共和国(訳注:タジキスタンを指す)の治安機関及び軍は、今起こっている諸問題に首尾よく対処しつつあるものの、我々はこれらの脅威を的確に評価し、常に支援及び援助を行うよう検討することができるということです」

 以上のプーチン発言で注目したいのは、タジキスタンへのロシアの「支援及び援助」に言及している点である。現在、タジキスタンには第201ロシア軍事基地(201RVB)と呼ばれる6000人規模の部隊が駐留しているが(これは中央アジアに常駐するロシア唯一の地上戦力である)、2005年まではロシアの国境警備隊がタジキスタン国境警備隊と共同で対アフガニスタン国境の警備に当たっていた。

タジキスタンへの軍事力展開を急ぐロシア

 これに対してロシア側からは度々タジキスタンへのロシア国境警備隊再展開が打診されていると言われるほか、ロシア軍が現在駐屯している南西部の平野部だけでなく、イスラム過激主義ゲリラの浸透ルートになりやすい東部山岳地域への展開も示唆されるようになってきた。

 ロシアがタジキスタンへの軍事力展開を急ぐ背景としては、米軍やISAF(国際治安支援部隊)がアフガニスタンから撤退して以降の情勢不安定化と、それが旧ソ連の中央アジア諸国へ波及する懸念とがよく指摘される。

 たとえば上記の発言に続いて、プーチン大統領は以下のように述べている。

 「我々は、CSTOの責任圏内における情勢と地域的・国際的諸問題について具体的な議論を行い、我々の組織(訳注:CSTOを指す)のさらなる強化に関する施策を決定しました。CSTO加盟国が多方面において対峙する脅威が増大していることについても確認されました。

 アフガニスタン問題に関する状況は我々の懸念を呼んでいます。国際治安支援部隊はこの国に大変長く駐留し、肯定的なものも含めていくつかの働きをしました。しかし、結果として見れば、彼らは情勢の質的、根本的、最終的な改善をもたらすことはできなかったのです。外国軍部隊(訳注:ISAF及び米軍)の大部分が撤退したことにより、残念ながら同国は不安定化しつつあります。

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