もちろん、アフガニスタンの不安定化によるタリバーン勢力の中央アジアへの浸透や、旧ソ連のイスラム過激派とシリア内戦との連動がロシアにとって現実の脅威であることには変わりはない。その一方、こうした脅威を過大に喧伝することでロシアが軍事的影響力を及ぼそうとしてくることに対して中央アジア諸国側の警戒感が根強いことも事実であった。
ロシアの念願が実現 CSTO合同航空部隊の創設
実際、ロシアはこれまでもイスラム過激主義の脅威を理由としてCSTOの軍事統合強化やタジキスタン、キルギスタン等への軍事援助を提案してきたが、中央アジア諸国は総じて消極的である。今回のタジキスタンにおけるCSTO首脳会議ではCSTO合同航空部隊の創設が正式決定されたが、これも数年前からロシアが主張してようやく承認されたものであった。
もうひとつの背景としては、シリア情勢に関するロシアの思惑がある。8月以降、ロシアはシリア内戦をISに対する「テロとの戦い」と再定義することでアサド政権の延命を図ろうとする動きを活発化させており、タジキスタンにおけるイスラム過激主義の脅威を強調することはこうしたロシアの対中東戦略にも資するものと考えられるためだ。
そこで次回の小欄では、プーチン演説の後半を紹介しつつ、この点に焦点を当ててみることにしたい。
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