世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年10月2日

»著者プロフィール

出典:Shannon Tiezzi,‘The Real Reason China Is Cutting 300,000 Troops’(Diplomat, September 8, 2015)
http://thediplomat.com/2015/09/the-real-reason-china-is-cutting-300000-troops/

* * *

 30万人の人民解放軍の削減計画の意図についての本論評でのティエッツィの指摘は、妥当であると思われます。

 この削減計画により、全体の予算は削減され、資金の再配分が行われることとなるでしょうが、それでも2017年に削減が完了した後でさえ、兵員200万人を擁する中国解放軍は世界最大の軍であることに変りはありません。

 今後の資金の配分においては、とくに本年5月公表の「国防白書」が述べているように、陸よりも海空に対してより多くの資金が割り当てられるものと考えるべきでしょう。それは海洋膨張主義を目指す中国の優先事項でもあります。

 今回の軍事パレードにおいて、いくつかの注目すべき兵器の機種が展示されました。これらの詳細については軍事専門家の分析が待たれるところですが、中でも注目すべき兵器は、巡航ミサイルを搭載できる第4世代の戦略爆撃機(「轟(H)6K」)が登場したことです。空中で発射できる巡航ミサイルを保有しているのは米露と中国だけとなりました。

 また、初公開された対艦弾道ミサイルの「東風(DF)21D」は海面に近づくと、弾頭の方向を変えて対象艦船に命中出来ると言われ、空母を保有する米軍にとっては看過できない兵器です。

 東シナ海、南シナ海、台湾海峡での有事の際には、これらの兵器が使用可能となることを米、日、台湾、東南アジア諸国などに印象付けるというのが中国の意図でしょう。これら兵器は沖縄やグアムの米軍基地を狙うことが出来るだけではなく、中国に接近する米空母にも対応が可能です。

 振り返れば、1996年、「台湾海峡の危機」の際には、急派された米空母2隻の前に、何もできなかった中国は、いまや、接近する米軍への大きな牽制力を有することを見せつけました。パレードに展示された新兵器の性能が中国軍によって現実的にどの程度使用可能の域に達しているのか、はっきりしない点はありますが、少なくともそれら兵器を保有していることを誇示出来たことは、今後、西太平洋における米軍のプレゼンスにも影響を及ぼす可能性があるでしょう。

 なお、海空重視への抵抗の可能性については、そうしたことを封じるべく、習近平の人民解放軍掌握を更に強化していくことになるのでしょう。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る