2024年3月4日(月)

WEDGE REPORT

2015年11月7日

電車道ではないサッカー人生

 高校や大学卒業後にJリーグ、その後海外でプレーとステップアップしていくような選手生活を送っていないことで、麻生選手が手にしたものがたくさんある。

 「コーチをしていたからこそ、選手によって対応を変えることを学びました。海外だと日本よりも個性が大事にされます。自分から積極的に意見を言える選手には、意見をぶつけ合ったりできるのですが、大人しい選手に同じような対応をしてしまうと落ち込んでしまいます。

 日本だと、そうした選手は性格の改善を求められたりしますが、海外ではそれを個性として受け止めているので、言い方を変えるなど、その選手に合った方法でコミュニケーションをとる必要があります。これはコーチをしていた時に気づいていたので、抵抗はありませんでした。個人的には、人によって接し方を変えるのはあまり好きではありませんが、GKとして色んなプレイヤーとコミュニケーションするには必要なのかもしれません」

サッカーは、海外で生活するための手段となっていると語る麻生選手。一方的な試合になった時でも、観客が見ていて「面白い、ワクワクする」と思ってもらえるエンターテイナーの要素を持ったGKを目指しているという。

 「また、現役を早期に1度引退したことで視野が広がりましたね。物事への考え方や姿勢が変わりました。若い頃はただがむしゃらにサッカーをして、上手くなること、上のレベルにいくことだけを考えていましたが、引退して自分がどれだけ周りの人に支えられていたかってことが分かりました。それからは、サッカーができることや支えて下さる人達に感謝しながらプレーするようになりましたね。あとは、人と人との繋がりが、いかに大切で財産なのかということ。それは選手を引退し、サッカーを引いて見ることができたから、気づけたことだと思います」

 Jリーガーが引退する平均年齢は25〜6歳と言われるが、麻生選手はこの秋28歳になった。「限界きてるな、と思います」と語るGKは、自分自身の選手としてのピークは過ぎていると考え、経験と勘を頼りにより良いプレーを心掛ける。

 「でも、今はもうJリーガーになるのも難しいですし、上を目指していくって感じじゃないんですよね。今何がしたいか。今面白そうなことは何か、を考えて、海外でのプレーを再度考えています。現在、数カ国から話がある中で、今度は代理人にできるだけ頼らず、自分の力で移籍を決めたいと思っています。リトアニアでもある程度自力でできたところもあったので、いけるんじゃないかな、と」

 選手生活を終えたら、サッカーとは違う分野で生きていきたいと話す麻生選手だからこそ、プレイヤーとしてはできない経験を買って出ている。「2度目となる引退後は、アニメの声優かプロ雀士になれれば、いやその両方ができればもっと面白いですよね」と笑って語る麻生選手だからこそ、今まで誰もなったことがないGKになれるはずだ。「3カ国目となるプレーの地が決まったんですよ」という報告が届くのを今から楽しみにしているファンが、私の他にも結構いるんじゃないかな、と思っている。

  
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