元プロ野球選手氏とビールを飲めば
9月6日 二日酔いの頭を抱えて9時頃起床。隣のベッドをのぞくと既にユイチャンはチェックアウトしたらしく毛布がきちんと畳まれている。
11時頃自転車に荷物を積み込んでやっと出発。海沿いの自転車道をゆっくりと北上。白砂青松の海辺が続く。目指すは30キロくらいの距離にある林浪(イルラン)海水浴場。4時前になんとか海水浴場に到着。少し曇り空なので念のため屋根のあるところで野営しようと場所を探すが適当な場所が見つからない。海の家で休憩してコーラを飲んでいたら女将さんが出てきたので野営地の相談をしたら、海の家の天幕の下にテントを設営するように勧められた。
これ幸いとテントを設営したがまだ5時である。やることがないので海の家でポテトチップスを食べながら韓国の老舗ビールであるOBビールを飲んでいると同年代のオジサンが入ってきてビールとつまみを注文。自然と一緒にビールを飲むことに。
この張氏はなんと釜山ロッテの元プロ野球選手であった。がっちりとした体格で陽気な御仁である。同い年ということが分かりビールのピッチがあがる。現役時代のポジションはショートストップで俊足を生かして盗塁が得意であったよし。日本のプロ野球界のご意見番の張本氏は同郷の先輩であり直接指導を受けたこともあり尊敬していると熱を込めて語る。韓国出身で日本の球界で活躍した張本氏は故国では英雄なのであろう。
張氏は現在釜山でお茶・海苔の問屋を経営しており、息子夫婦・孫を引き連れて一族で遊びに来たが、息子達がまだ釣りをしているので待っているのだと。張氏と話していて同氏が日本や日本人に対して全く偏見がないことが感じ取れた。野球の話やビジネスの話から推測できたのは張氏が自分の人生に満足しており誇りを持っていること。更に幸せな家庭を持っていることが話の様子から伺えた。独特のユーモアがあり一緒に飲んでいて楽しい御仁である。
彼にとっては反日や親日などという政治的スローガンはどうでもよいことのように思えた。自分の生き方や人生に満足している人間、つまり自信を持って生きている人間にとっては自分の周囲の現実がより重要であり空虚なイデオロギーはあまり意味を持たないということなのだろうか。
張氏のような人が増えてゆけば韓国社会の反日感情も自然と薄れてゆくのであろう。
⇒第4回に続く
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