また、処方箋ドラッグにはまりやすいもうひとつの層が「スポーツ選手」だ。MLBだけではなく、NFL、NBAなど、プロスポーツ界は10年以上も前から処方箋ドラッグの過剰使用に警鐘を鳴らしてきた。オキシコドンなどの服用により依存症となり、ヘロインなどのハードドラッグに手を出して選手としてのキャリアを台無しにした選手は数え切れないという。
プロだけではない。高校や大学のスポーツ選手の間でも処方箋ドラッグ依存症が広がりつつある。スポーツと怪我は切っても切れない関係にある。痛み止めとして処方された薬が後に依存症という症状をもたらす。
より強い刺激を求めてヘロインに手をだす
事態を重く見たオバマ大統領は今年10月21日、連邦、州、地方自治体政府、プライベートセクターが一丸となり処方箋ドラッグ乱用に対処すべき、との声明を出した。連邦政府がモデルを作り上げ、医師など現場での鎮痛剤処方により厳しいガイドラインを設ける、患者側の薬物使用の実態へのコントロールを強化する、などがその内容だ。
しかし11−13年の処方箋ドラッグ使用量はほぼ横ばいだが、同期間のヘロイン使用量は2倍になった、という報告もある。多くがオキシコドンなどの依存からより強い刺激を求めてヘロインに手をだす、というパターンで、その根源となる処方箋ドラッグをコントロールすることが大切、と政府は訴える。
元メジャーリーガーの死は、米国にはびこる病を新たに浮き彫りにした。しかし処方箋薬として簡単に手に入る薬に麻薬成分が含まれている、という事実が改善されない限り、病の根治は困難だ。
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