今年は、ワールドプレミアには、キアヌ・リーブス主演映画「ドーター・オブ・ガッド(フォーティテュード・インターナショナル)」、マーケットプレミアには、ケーティ・ホームズ主演映画「タッチド・ウィズ・ファイヤー(ミリアド・ピクチャーズ)」などが含まれた。
展示には、前述の試写会を行なった「フォーティテュード・インターナショナル」や「ミリアド・ピクチャーズ」など、38カ国から391社が出展した。通常の展示会のような展示ブースも設置されたが、前述のとおり、同見本市の主な目的は商談であることから、会場に使用されたロウズ・サンタモニカ・ビーチホテルの客室は、映画製作会社のオフィスや商談のミーティングルームとして使用された。
中国の不動産大手も出展
中国から訪れた企業22社(うち香港12社。韓国からは11社)の中には、今、勢いを見せる不動産開発大手「大連万達集団(ワンダグループ・Wanda Cultural Industry Group Inc.)」の出展もあった。「中国の映画市場は、現在、世界2位の規模に成長している。2020 年には、現在トップのアメリカを抜いて世界最大規模になる見通しだ」と、ウルフ氏。
その理由は、約14億の人口がいる中国では、中流階級の人々が急激に増え、彼らの金銭の使い道が映画鑑賞などエンターテインメントにシフトしていることから。また、映画を鑑賞する年齢層で最多の若い年齢層(18歳~24歳)が、世界で最も多い国であることも、映画産業が活性化している理由のひとつだ。そこで、ワンダグループでは、中国で映画館建設や、アメリカの映画館チェーン「AMCシアターズ」、オーストラリアの映画館チェーン「ホイツグループ」の買収を行い、映画ビジネスに注力する。
今回、同社がAFMに出展した理由は、2017年にオープンを控える「Wanda Studio Quingdao(ワンダ・スタジオ・青島市)」で、海外の映画製作などに携わる企業の誘致だ。このワンダ・スタジオは約600エーカー(約73万坪)の巨大施設で、世界最大の映画とテレビのスタジオ施設になる。また青島市では、インセンティブも準備されているため、映画製作側にとっては、大きな魅力のひとつになるだろう。一方で、中国の映画産業は政府機関、国家新聞出版公電総局当局によって厳しく統制されており、暴力やセクシャリティなどの題材はカットされるなど、映画製作に関するさまざまな条件をクリアする必要がある。中国の映画産業の現状については、第2回目のレポートでお伝えしよう。
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