米カリフォルニア州サンバーナディーノで14人が犠牲になった銃乱射事件は連邦捜査局(FBI)によってテロだと断定された。犯人の夫婦のうち妻が犯行時刻にフェイスブックに過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う書き込みをしており、“地元でテロを起こせ”というISの誘いに呼応した「ローン・ウルフ(一匹狼)」型テロの恐怖が再び現実になった格好だ。
謎深まる動機
FBIのコミー長官は夫婦が思想的に過激化し、「外国のテロ組織に感化された可能性がある」と指摘、特定の組織からの指示に基づいたテロではなく、ISなどイスラム過激派の思想に触発されて過激化していった「ホーム・グロウン(母国育ち)」の「一匹狼」型テロの可能性が濃厚であると示唆した。
2人はパキスタン系米国人サイード・ファルーク(28)とタシュフイーン・マリク容疑者(29)で、ともにイスラム教徒。ファルークはサンバーナディーノ郡の公衆衛生部局の職員。福祉施設で2日に開かれた職員パーティに参加していたが、中座してマリクと現場に戻り、約70発を乱射した。
2人は逃走したものの、警官隊との銃撃戦で死亡した。犯行現場にも3本のパイプ爆弾が残されていたが、自宅からは手製のパイプ爆弾12本、銃弾5000発が押収された。こうした武器が残されていたことで、2人はさらなるテロを計画していたのではないかと見られている。
自宅はさながら簡易の武器工場。爆弾の点火装置に使われるクリスマス・ツリー型のミニチュア・ランプも押収された。このランプは、テロ組織「アラビア半島のアルカイダ」の機関誌最新号が遅発性点火装置として紹介していたものだ。
最大の謎は乱射の動機だ。しかも生後6カ月の娘をマリクの母親に預けての犯行だ。調べによると、乱射では、上司が最初に撃たれたもようで、職場のトラブルもあった可能性がある。専門家の1人はこうした職場の不満とイスラムの過激思想が混合した“ハイブリッド・テロ”だったのではないか、とも指摘している。