世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年2月1日

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経済支援が変化の妨げに

 エバースタットは、北朝鮮の経済破綻の原因は、①劣悪なビジネス環境と、②中国・ロシア(ソ連)の経済支援にあるとしています。しかし、政策は体制そのものと密接に関係しています。金正恩体制に移行した際は一抹の希望的観測もありましたが、結局変化は起こりませんでした。奇しくも1月6日に北朝鮮は初の「水爆実験」実施を発表しました。政治の優先順位が狂っています。

 決断をすればビジネス環境は変えることができます。経済の改革、自由化をすれば経済を活性化できます。ここ数年、北朝鮮も一部経済の自由化をしており、それを利用して金儲けをしている人々がいるとも言われます。英エコノミスト誌もここ数年北の変化に注目、報道しています。しかし、実際の状況は正確には分かりません。一定の改革開放に関心を示したのではないかと思われる張成沢も13年12月には粛清されてしまいました。

 中国などの経済支援が現状維持を擁護し変化を阻むことになっているとの指摘は全くその通りです。日本など通常の経済支援は必要な資本を与え、また人的資源を発展させることなどによって経済発展に貢献します。しかし、アフリカでの例でもわかるように、中国の経済支援は当該国「政府」の喜ぶことをする政治至上主義であり、経済の発展効果や改革刺激効果などは限定的です。まさに中国やロシア(ソ連)の経済支援が北朝鮮を悪くしています。その意味でも、中国等の対北経済支援政策を変えさせていかねばなりません。

 それでも、北朝鮮が大転換し改革が可能となり、日本などが北朝鮮に本格的に支援するようになれば、北朝鮮はかなり短期に発展することが可能となるのではないでしょうか。北朝鮮は、ベトナムやミャンマーほど大きな国でもないですし、人的資源は急速に教育できるようにも思われます。

 懸念されるのは、北朝鮮の対中国経済依存が高まっていることです。15年6月に発表された韓国KOTRA報告によると、14年の北朝鮮の対外貿易は総額76億ドル(輸出31.6億ドル、輸入44.5億ドル)で、その90.1%を中国に依存しています(輸出28.4億ドル、輸入40.2億ドル)。中国の影響力の大きさを示すとともに、中国がいかに国際社会の対北圧力の抜け穴になっているかがわかります。

  
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