世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年2月10日

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Q.中朝関係への影響はどうか。

 4回目の核実験で中朝関係はさらに悪化するだろう。実験に際し、中国側は何も通告を受けていなかった。習近平は、北朝鮮との関係改善にいかなる政治資本を投じようとも思っていない。実験を受けて、習近平は韓国との関係を発展させるほうが正しいとの確信を強くしているはずだ。北朝鮮の核計画に変化がなければ、習近平はその任期が終わる2022年末まで、金正恩と会おうとしないかもしれない。

出 典:Bonnie S. Glaser ‘China's Reaction to North Korea's Nuclear Test’(CSIS, January 6, 2016)
URL:http://csis.org/publication/chinas-reaction-north-koreas-nuclear-test

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安保理制裁決議の実効性は中国次第

 上記では、中国は国連安保理では制裁措置に参加する動きを示しているが、実際にどこまで制裁措置を遵守するかはよくわからない、と指摘しています。この指摘は、的を射たものと言えるでしょう。

 今回の北朝鮮による核実験に対する中国政府の公式声明は、前回2013年の核実験の際と比較して、その言い回しは実質的に同じものであり、唯一の違いは「各国に冷静な対応を呼びかける」とする部分が含まれていないだけです。

 中国にとっては、中国の思う通りにならない北朝鮮を苦々しく思っているのでしょうが、だからと言って、北朝鮮の体制が崩壊したり、ひいては、中国の体制維持を脅かしたりすることは、何としても回避したいに違いありません。

 北朝鮮と中国とのギクシャクした関係は、近年では、北朝鮮指導部の親中国派と言われた張成沢の処刑などをめぐり強まってきていますが、中国が依然として、北朝鮮にとって石油、食料の主たる供給源であることに変わりはありません。最近も、安保理による対北朝鮮資産凍結の制裁対象とされている北朝鮮の貨物船を、中国企業が購入したとの報道がなされていました。

 国連安保理の制裁決議も、中国が実効性の上がる措置に協力しない限り、しり抜けになってしまうという実体は変わっていません。

 米国は、今回の核実験のあと、中国に対し、中国の対北朝鮮制裁措置が実効性を上げるよう圧力をかけていますが、日本としても、中国に対し、これまでと異なる制裁措置をとるように働きかける必要があるでしょう。

  
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