田部康喜のTV読本

2016年2月26日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 テレ朝の「スペシャリスト」は、冤罪で10年以上も獄中にあった、宅間善人(草彅剛)が刑事となって事件を解決する。宅間の武器は、獄中でありとあらゆる犯罪者を観察することによって、犯罪の手口に精通していることである。

謎解きのおもしろさみせる

 事件の推移をみながら、獄中で出会った犯罪者を思い出して、その手口を毎回紹介するくだりは、ユーモラスでかつ謎解きのおもしろさを見せてくれる。

 第6話は、通り魔に刺殺された被害者のそばにおかれた楽譜が、キーとなる。宅間は獄中で、手紙の冒頭だけを横に読んでいくと、「あいしている」と意味が通じる方法を思い出して、楽譜の曲にも意味が込められた音階があるのではないか、と推測する。

 楽譜には、自殺したとされた音大生の、息子に対する愛のメロディーが込められていた。そして、その作曲を盗んで、世界的なピアニストになった雨宮薫(矢田亜希子)が、彼女のストーカーをあおって、盗作をしていると疑った恩師を刺殺させたのであった。

 草彅のとぼけたような演技は、宮藤官九郎監督の「中学生丸山」(2013年)の殺人者の演技を彷彿(ほうふつ)とさせる。宮藤によれば、この作品は、連続テレビ小説「あまちゃん」と並んで、彼の創作活動の歴史に欠くことができない作品であるという。

 テレ朝の「相棒」は、ゲストスターが犯人である、という定番が少々飽きられてきたのではないか。第16話「右京の同級生」は、右京の小学校時代の同級生で医師となっている、小峰律子役に竹下景子を迎えている。竹下がいつどのような形で犯罪に絡むか気が気ではない。

 犯人が最初からわかっていて、その謎を解いていく「倒叙法」ミステリーも考えてはどうだろうか。「刑事コロンボ」のように。

  
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