2024年4月19日(金)

韓国の「読み方」

2016年3月24日

「性奴隷」か「慰安婦」か

 産経新聞の記事に戻ろう。産経記事のポイントは、

 ▽最終見解は不当である

 ▽「強制性」への言及はなかった

 ▽「性奴隷」ではなく「慰安婦」という言葉が使われた

 ▽日本政府の反論は一定の成果を上げたが、まだ足りない

 というものである。「強制連行や性奴隷などという間違った認識が最終見解に入らなかったのは日本政府が反論した成果だ」という印象を受ける。

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で、公表前に最終見解の文案が日本側に提示されたことを紹介。菅長官は、それを受けて日本側が委員会に対して「慰安婦問題に関するわが国の説明や取り組みが最終見解に適切に反映されるよう強く要請」したと語った。

 委員会側は「今回の最終見解の中では日本側の説明を踏まえて、性奴隷という表現を用いずに慰安婦の用語に統一する旨を(日本側に)説明したうえで、日本政府の申し入れは関係委員で共有する」と答えてきたという。それにもかかわらず、公表された最終見解に日本側コメントが十分に反映されていなかったから、改めて「極めて遺憾だ」と申し入れたそうだ。

 岸田文雄外相もこの日の記者会見で、日韓合意に関する最終見解の見方を「国際社会の受け止めとかけ離れている」と批判した。ただ、「慰安婦問題について今回の最終見解の中では性奴隷という表現はなく、英語で"comfort women"の用語に統一されている。これは2月16日の対日審査で事実関係や政府の取り組みについて杉山外務審議官からしっかり説明を行った結果であるとも受け止めている」と語った。

 前述の通り、女性差別撤廃委員会の最終見解ではこれまで「性奴隷」という表現が使われたことはない。だから、菅官房長官と岸田外相の説明を素直に聞くと、今回は初めて「性奴隷」という言葉が使われようとしていたものの、日本側の主張を受け入れて使われないことになったと思うだろう。産経の記事もそうした理解を下敷きにしたものだ。少なくとも私はそう受け止めた。


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