そうした中で、ブリュッセルの国際空港と中心部の地下鉄で自爆したバクラウイ兄弟は昨年、ベルギー北部モルの原子力研究所の技術者の自宅をひそかに監視、隠しカメラで撮影していた事実も分かった。この技術者を誘拐して、原発テロや放射性廃棄物を混合した「汚い爆弾」を製造することを狙ったのではないかと見られており、ベルギー政府は原発を厳戒態勢下に置いている。
放射性廃棄物を「汚い爆弾」としてまき散らす危険性
専門家らによると、テロリストたちが原発から高濃縮ウランを入手して核爆弾を製造することは現在のところありそうにないが、放射性廃棄物を「汚い爆弾」としてまき散らす危険性はある。この他、原発の中で爆弾を爆発させたり、原発にドローンなどを突っ込ませる危険性が指摘されている。
ベルギーでは2カ所で原発が稼働中。そのうち、2012年には、北部ドール原発の従業員2人がシリアに向かい、ISに加わった。その後パリ同時多発テロの主犯アブデルハミド・アバウトらと一緒にベルギー軍団の一員として戦闘に参加していたことが分かっている。
1人は戦闘で死亡したと見られている。もう1人はベルギーに戻り、2014年にテロ関連容疑で捕まって有罪になったが、昨年に釈放されている。この2人がISに原発の関連情報を漏らした可能性は大きく、そのことが今回の「原発テロ」計画につながっているのではないかとの見方も出ている。