人事は企業を変えられる

2016年4月18日

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 しかし、将来の会社の競争力を確保するために、人材のレベルアップを図るタイミングは今をおいて無い、とカンパニーの事業責任者を繰り返し説得した。とはいえ、そんな高尚なことだけを人事が“のたまって”も常に経営陣からプレッシャーをかけられている事業責任者たちにしてみれば納得できない。出ていくエース級と同格の人材を、人事が責任を持って送り込むことも、繰り返し話した。

 最終的に事業責任者たちの不安を解消してくれたのは、異動する彼ら自身だった。彼らは最初、本当に異動できるのか疑問に思っていた。異動が現実的になってくると、彼らは人事の意気に応えるように、自らが取り組んできた仕事の引き継ぎを始めた。それは結果的に、多くのノウハウを“可視的”に組織に残すことにつながった。

 その後、異動した人材の活躍は目覚ましく、日頃放置されていた仕事が動き出すなど、彼らの違う発想と経験がビジネスに生きた。

 人は場(ポジション)で育つ。私自身、上司に何回も崖から突き落とされてきたが、人材育成を行う上でローテーションは非常に効果的だ。

 得てして人事は不協和音を起こさないことを良しとしがちだが、そんなことは無い。人事には今よりも将来のために組織能力を高める役割があり、人事異動は腕の見せ所だ。勇気を持って、競争力をつけるためのチャレンジをしてほしい。

  
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◆Wedge2016年4月号より

 


 

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