海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年4月25日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

資本主義VS.社会主義

投票所ナンバー33の傍で、100ドル紙幣が印刷された服を着てクリントン候補とウォール街の関係を批判する女性

○クリントン支持者

 ・「サンダースは社会主義者です。社会主義はもう過去の話です」

○サンダース支持者

 ・「サンダースは全ての人のために戦っています。公立大学の授業料を無償化するためなら、私はもっと税金を払っても構いません。社会主義は問題ありません」

 ・「公立大学の授業料無償化に賛成です。国民皆保険も必要です。富裕層から貧困層まですべての人が保険を持つべきです。最低賃金15ドル値上げにももちろん賛成です。ヒラリーは資本主義者です。私は、民主社会主義者です」

 ・「私は資本主義と社会主義のハイブリッドに賛成です」

 サンダース上院議員を支持する若者は、社会主義に対して抵抗が少なく、肯定的に解釈します。一方、クリントン候補の支持者は冷戦時代を経験した高齢者の女性が多く、社会主義には否定的な固定観念を持っている傾向があります。この相違が、民主党内で世代間の溝を深めているのです。

リベラルVS.中道

○サンダース支持者

 ・「バーニーがヒラリーを中道からリベラルな方向に引っ張っていったのです。ヒラリーは右寄りでビル(クリントン元大統領)と似ています。ビルは共和党の立場に賛成しました。たとえば、北米自由貿易協定に署名し、犯罪には厳しい立場をとりました。それによって、共和党と民主党の対立の構図が明確でなくなってしまったのです。私はビルとヒラリーに強い不満を持っています」

 ・「バーニーは高い目標を掲げており、ヒラリーよりも進歩的です。たとえば、最低賃金を15ドルに値上げしようとしています。実際に目標を達成できるのか分かりませんが、私は高い目標を掲げているバーニーを支持します」

 ・「ヒラリーはまるで共和党候補のようです。私にはかなり右寄りに見えます。それに対してバーニーはリベラルです」

 リベラル色の強いサンダース支持者には、クリントン候補は右寄りでタカ派に映っています。ニューヨーク州民主党予備選挙で、サンダース上院議員はクリントン候補に大敗したものの、米CNNテレビの出口調査によれば「非常にリベラル」な有権者においては同候補に12ポイントの差をつけました。

 ただ、チェルシーで実施したヒアリング調査によれば、仮にクリントン候補が民主党の指名を獲得した場合、大抵のリベラルな有権者は本選で同候補に投票をすると語っていました。というのは、サンダース支持者は、トランプ候補及びテッド・クルーズ上院議員(共和党・テキサス州)はかなり右寄りであると強く認識しているからです。トランプ候補かクルーズ上院議員のどちらかが共和党候補指名争いを勝ち抜くと、クリントン陣営とサンダース陣営に対して共通の敵が出現することになります。それが、両陣営を統一する要因になる可能性が高いと言えます。

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