2024年11月24日(日)

前向きに読み解く経済の裏側

2016年6月13日

少子高齢化で労働力不足による賃金インフレの時代に

 中期的な日本経済の予測をする際、最も重要で最も確実なことは、少子高齢化が進むということです。万が一完璧な少子化対策が採られたとしても、労働力不足が緩和されるのは20年以上先のことだからです。

 高齢化社会では、医療や介護といった需要が伸びますが、こうした産業は省力化が難しいので、労働力不足に拍車がかかってしまう可能性があります。「若者が介護に忙しくて製造業で働けない」というわけです。

 そうなると、モノが生産されなくなり、モノ不足になり、モノの値段が上がります。インフレです。足りなければ輸入すれば良い、という考え方も可能ですが、そうなれば輸入のためのドル買いが増えてドル高になるので、輸入品の価格が上昇し、輸入インフレになります。

 労働力不足は、賃金を上昇させますから、賃金インフレも発生するでしょう。サービス業はコストに占める人件費の比率が高く、省力化も難しい場合が多いので、賃金の上昇がストレートにインフレに繋がりやすいのです。

 バブル崩壊後の長期にわたる物価安定の主因は、失業者が多かったことで安い労働力が容易に調達できたことにあります。そうした環境が逆転するわけですから、デフレ時代からインフレ時代へと頭を切り替える必要があるわけです。

 

最大のイベントリスクは地震?

 ここまでは予測でしたが、予測は出来なくても可能性として考えておくべき事柄(イベントリスク)もあります。その最大のものは大地震です。30年以内に大地震が発生する確率は70%だと言う人もいるほどです。

 10年以内に大地震で東京、大阪、名古屋が壊滅状態に陥るリスクが10%はあると考えておくべきでしょう。そして、その場合には巨額の復興需要と生産能力激減のダブルパンチになりますから、消費者物価が最低でも2倍にはなるでしょう。期待値として10年以内に最低10%は物価が上がることになります。年率1%以上です。

 通常の経済予測では、大災害については「大災害のリスクはありますが、それはそれとして……」といった扱いをしますが、資産運用に際しては、しっかりと期待値として認識する必要があるのです。

 現金や銀行預金が1億円あっても、大地震による大インフレが来たら、まっとうな老後が過ごせないかも知れません。インフレに強い資産を持つインセンティブは決して小さくない、というわけですね。


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