WEDGE REPORT

2016年5月24日

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米・パキスタン関係悪化

 米国にとって頭が痛いのは、パキスタンとの関係悪化が必定なことだ。両国は国際テロ組織アルカイダやタリバンをめぐって微妙な綱渡り関係を維持してきた。パキスタンは米中央情報局(CIA)がアフガンとパキスタン国境の部族地帯に潜むアルカイダを無人機で攻撃するのを容認してきた。

 一方で米国は、パキスタンが南西部バルチスタン州にタリバンの指導部が事実上の本部を置くことに見て見ぬ振りをしてきた。しかしマンスール師が和平協議を無視する姿勢を見せたため、初めて同州内での攻撃に踏み切り、同師を暗殺した。

 米国がパキスタン側に事前に攻撃を通告したかどうかは明らかではないが、パキスタン外務省は「攻撃は主権侵害」と米国を非難。マンスール師の死亡についても、死んだのはワリ・ムハマドというイランから入国したばかりの男だとして、確認していない。

 タリバンは元々、パキスタン軍情報部(ISI)がイスラム原理主義者の若者をアフガニスタンに送り込んで作った組織。パキスタンはタリバンにアフガニスタンを支配させることにより、自らの影響力を強めようとした。同州にタリバンの聖域を許したのはこうした背景がある。

 だが、今回の暗殺でパキスタンのこうしたタリバン支援が公然となってしまった。パキスタンとしては国内にタリバンが本拠を築いていたことをあくまでも認めない方針だが、主権を侵害した米国には厳しく対応せざるを得ず、両国関係の悪化は避けられない見通しだ。
 

  
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