そしてこれは、どちらが正しいかで決着のつく話ではない。これは、「自分たちは今後、どちらの方向の社会に進みたいか」という価値観の話だ。常識というのは意外に簡単にくつがえる瞬間がある。数十年前までは公共機関のどこでもタバコが吸え、30代の未婚女性を「オールドミス」と言っても問題にならなかったのだ。
だから、擁護派が感じている「なんでこんなことにいちいち目くじらを立てるのか」という疑問の答えはただひとつ、企画にクレームをつけてやめさせることが批判派たちにとっての「前進」だからだ。
炎上しても撤回しない根性はないのか
擁護派が本当に、「ネット上でジェンダーの絡むジョークや悪ふざけができないのは息苦しい」と感じているのなら、ネット上で擁護しているだけでは弱い。なぜなら批判派の「実績」の方が目に見えやすい現状があるから。擁護派たちは自ら「東大美女が水着で接待する美しすぎそうで美しすぎないちょっと美しい説明会」などを企画し、批判を浴びても撤回しない姿勢を貫く必要がある。おそらくネットで可視化されない部分で今も行われている性差別的な企画があるのだろうが、あえてネットにさらして炎上させ、それでも撤回しないのがこの場合の行動だ。
今の時代にそんな面倒くさいことをする企業があるとは、ちょっと思えないけれど。
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