難しい対応必要な対中関係
この論評の指摘はその通りです。しかし、ミャンマーと中国の関係はもっと複雑で根深いものです。1966年、中国で文化大革命が起こると、中国共産党はビルマ共産党を公然と支援しました。ミャンマー国軍が、その創設以来最も多くの犠牲を出したのが、この戦いでした。この記憶が消えることはありません。人口の7割弱を占めるビルマ族にとり、少数民族は常に難しい問題でした。しかも、中国の直接の影響を受ける少数民族も少なくありません。同時にネ・ウィンに代表されるように、中国人の血を引くミャンマー人も、かなりいます。両国は、国境を接していますし、経済的関係も深まっています。安全保障上も経済上も、中国との関係は上手に処理するしかありません。
王毅が一番乗りしたのも、いかにも彼らしいやり方です。点数稼ぎに勤しんだのでしょうが、彼が行ったからといって中緬関係が特に大きく影響を受けることはないでしょう。何よりも、ビルマ族は誇り高い民族です。ミャンマー政府が中国の言いなりになることは、過去にもあり得ないことでした。これからも、そうあり続けるでしょう。
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