エコノミスト誌4月23-29日号が、ミャンマーに対するかつての特権的影響力を取り戻そうと中国が盛んに外交攻勢をかける一方、経済成長のために中国の支援が必要なスーチー政権は、少数民族問題も絡んで複雑な対応を迫られている、と報じています。要旨は以下の通り。
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反感強まる中国の影響力
ミャンマーの新政権は中国の王毅外相を最初の賓客として迎え、スーチーは中国の「多額の援助」を歓迎し、王外相は両国の暖かい兄弟関係を称えた。
しかし、両国の関係は以前とは異なる。ミャンマーの軍事政権が開国に踏み切ることになった要因の一つは、増大する中国の影響力への強い反感だった。ミャンマーの人々は、中国からの投資に伴う大勢の中国人労働者や商人の流入に、自国が中国の一省になりさがると危惧し始めていた。将軍たちも、中国の支援がリスク要因になってきたことに気づいたようで、2011年、テイン・セイン大統領は中国出資の巨大ダムの建設を突如中止、銅山開発や中国雲南省とベンガル湾を結ぶ鉄道の建設も取りやめた。この時、既にテイン・セインとスーチーは民主主義への移行を協議していた。
今や中国はミャンマーの唯一の庇護者ではなく、西側諸国と競合する立場にある。とは言え、中国は今も最大の投資国であり、ミャンマーに巨大な商業的、戦略的利害を有する。中でも重要なのが、中東の石油・ガスを中国内陸部に送り込むための中国石油公社所有のパイプラインだ。他にも中国企業が関わる工業地区、港湾、精油所等の建設計画がある。王外相の融和的姿勢は、中国がこうした利害をより上手く運営しようとしていることを示すものだ。