日本一強いソフトバンクから将来〝世界一のバント王〟が誕生するかもしれない。2日のセ・パ交流戦の中日戦で、今宮健太が通算200個目の犠打をマークした。24歳10カ月での200犠打到達は史上最年少記録で、川相昌弘(現巨人三軍監督)が1992年に達した27歳9カ月よりも約3年早い。このペースでいけば、川相の保持する世界記録533犠打を、今宮が数年後に更新する可能性もある。
プロ野球ファンにとっては意外に思われる現象かもしれない。なにしろ、ソフトバンク打線の破壊力は12球団随一だ。3日の広島戦ではセ・リーグ最高の赤ヘル打線を向こうに回し、3者連続本塁打を含む5ホーマーを浴びせて圧勝した。とりわけ、日米通算200勝まであと3勝と迫っている黒田博樹を、クリーンアップの柳田悠岐、内川聖一、松田宣浩の3連発でたたきのめした場面たるや、圧巻の一語。これほどの打線で送りバントをする必要があるのかと、私でも考える。
パ・リーグはソフトバンクが強過ぎて大変
ソフトバンクのあまりの強さに、ロッテ・伊東勤監督はこんな本音を漏らしている。
「交流戦でもパ・リーグの公式戦と同じように、ソフトバンクは負けないでしょうから。ウチとしては、なんとか離されないようしぶとく食らいついていかないといけません」
そのロッテの主将・鈴木大地に至っては、交流戦開幕記者会見で、セ・リーグの球団に対し、こんな露骨な〝陳情〟をしていた。
「パ・リーグはソフトバンクが強過ぎて大変です。セ・リーグのみなさん、ソフトバンク戦に勝つよう、よろしくお願いします」
日本ハムの栗山英樹監督も連日セ・リーグのチームと戦いながら、首位のソフトバンクとのゲーム差が気になってならないらしい。
「シーズンを通しての戦い方について、プロ野球では昔から、6月はまだ無理をする時期じゃないと言われてるでしょう。そんなことは9月、優勝争いの大詰めにきてやればいいと。でも、去年のパ・リーグは9月にはもう(首位のソフトバンクをはじめ)順位が決まっちゃってた。いま無理するしかないよ」
そうした発言の裏側には、ソフトバンクの勢いはどこにも止められない。まして、戦力格差の著しいセ・リーグに期待するなど無理な相談だ、という諦めに近い思いが窺える。