都会に根を張る一店舗主義

2016年6月16日

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目にも舌にも優しいお料理

 春は桜、梅雨は紫陽花、秋は紅葉、冬は雪の結晶……などなど『梵』のお料理は、元祖、普茶料理とはまた違う、くっきりとした季節感を楽しむことができる。常に新しい素材やお料理への探求心を欠かさない。

 中でも最も季節感が滲むのが、しゅんかんと呼ばれる料理の盛り合わせ。取材した5月を代表する牡丹をモチーフにした玉菜牡丹と命名された鮮やかなビーツとキャベツの寄せものが目をひく。これに五穀を使った精進粽の笹の緑のコントラストも美しい。挽肉料理のような味わいの義生豆腐、ちょっと珍しい山桃、小山に見立てた明日葉のエゴマ和え、しいたけの卯木揚げ、長い時間をかけて胡麻油で炒めて小さくしたしじみコンニャク……。

最も季節感が現れる前菜の盛り合わせのようなお料理、しゅんかん5月は、精進粽に、ビーツとキャベツを使った玉名牡丹、まるで挽肉料理のような義生豆腐、鶴の子大豆、モロヘイヤ、卯木椎茸、姫トウモロコシ、山桃、筆生姜、明日葉の和え物……。

 お料理の大半は、古川さんの創作料理で近頃は、台湾にある禅宗のお坊様たちが、自国の料理との違いに興味を持たれて来店するそうだ。

 台湾や中国のお寺でも精進料理を味わった研究熱心なご主人が言う。

 「中国や台湾のお寺さんの料理は、フェイク料理というか、本物そっくりに創り上げるもどき料理が多い。それに比べて日本には、そのものの味、素材の味を大切にしながら作るという文化が根底にありますね」。伝来から再び4百年を経て、日本独自のアレンジが、本場の人々をも魅了するようだ。

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