田部康喜のTV読本

2016年6月8日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 金正恩体制が恐れているのは、国外からの情報の流入である。「アラブの春」のなかで、兵士によって殺された、リビアのカダフィ大佐の映像について、機密文書は次のように記している。

 「カダフィが自国の兵士に殺された不純な映像をみたものは厳罰に処す」と。

 北朝鮮ではいま、中国経由で米韓のニュースが、USBメモリーやCDによって持ち込まれているのである。機密文書によると、そうした例は1万6000件に及ぶという。

 分析チームは、膨大なファイルのなかから、手紙のようなファイルを発見する。姉宛のものでわずか5行。「家のことをお願いします。家族のことをお願いします。妻を私のように愛してください」。機密文書が売却される2カ月前に作成されていた。

調査報道にふさわしいスクープ

 機密文書を軍のコンピューターから盗み出したのは、ファイルから「YlmF」というコードネームの人物である。この手紙はこの人物が書いた可能性が高い。

 尚美学園大学の鐸木教授は、次のように分析する。

 「機密文書を持ちだした人々は、この(金正恩体制)システムがいつまで持つのか、これでいいのかと考えたのではなかったか。遠からず変化は間違いなくある」と。

 番組の題名にふさわしい、まさにスクープである。日本のメディアの調査報道としては白眉ではないか。新聞とテレビの報道に与えられる、日本新聞協会賞の候補となるのは間違いない。再々放送が待たれる。

  
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