定年バックパッカー海外放浪記

2016年7月24日

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雨上がりの虹、Decazvilleに向かう山道にて

スペイン出身の才女、アナ

 5月22日 真昼の灼熱地獄の中、ミディー・ピレネー地方のCaster-Arrayから28km先にあるLa Romieuを目指して歩いていた。この日は28km歩かねば次の巡礼宿にたどり着けないので早朝から気合を入れて歩いていたが、昼前から太陽がギラギラと照り付けて消耗戦となってきた。

 草叢をかき分けて進んでいると後方から歩いてきた女性と出会った。年齢は30代後半か。彼女はアナと名乗りスペイン出身という。ウィットに富んでおり話していて滅茶苦茶に面白い。アナは大変な才女であった。

 マドリード近郊の高校を卒業して米国に留学し化学を専攻。博士号を取得するまで学資は全て奨学金で賄ったので親に一切負担をかけていないと。米国の大手ケミカル会社に就職したが研究職の待遇が期待以下であったので数年で退職して高収入の特許問題弁護士となるべく法科大学院(ロースクール)へ。特許法を専攻して弁護士資格を取得して世界的製薬最大手のN社に就職。現在はスイスの本部でN社の全世界における特許権・知財権の管理をしている。

林の中の巡礼道

 製薬業界は特許権・知財権を巡り熾烈な戦いが繰り広げられている世界である。アナによると新薬開発には30億ドル、40億ドルという巨大な開発費用と何年もの開発期間を要する。こうして画期的な新薬が開発されると競合相手はすぐさま新薬をコピーした類似商品を特許申請して独自に開発した商品として発売する。

 高度な専門的化学知識と複雑な法律を駆使してこうした巧妙な競合相手と世界中で訴訟合戦を展開し日々裁判闘争しているという。訴訟手続きの煩雑さ、裁判費用と判決までの期間、などなどを総合的に判断して和解に持ち込むことも多いという。

 ハリソン・フォード主演の『逃亡者』はこうした巨大製薬会社の陰謀を描いた映画であるが、アナに聞くと製薬業界は巨大な開発費の見返りに莫大な利益を上げるという仕組みなので映画の様に“dirty”な陰謀が大なり小なりあることは否定できないと。

Condomの町の三銃士像

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