[フランス中西部Le Puyからスペインの聖地Santiagoを経てMuxiaまで]
(2015.4.22-7.16 86days 総費用37万円〈航空券含む〉)
パリの祈る学生
5月1日 (承前)米国の在独軍属(建築家)ジム・ブライアンと雨中行軍の末、やっとのことでLes Gienetianesという村落の慈善団体運営の巡礼宿に到着。先着の学生風の二人の青年が隣の2段ベッドにおり一人は聖書を読みながら熱心に祈っている。
6時に食堂に行くと全部で20人くらいがテーブルに座っている。フランス人の団体が多数派。私の前はスイス人の二人連れの女子学生。ジュネーブ出身なので母国語は仏語である。横は同室の二人の青年だ。パリ大学の同級生で一人はアジア系の風貌で聞くとベトナム系フランス人。
全員が揃うと慈善団体の代表がなにやら挨拶して全員で簡単に黙とう。次に意味が分からないが食事を催促するようなフランスの歌を全員で合唱。その間にサラダの大皿、スープ鍋が順番に回って来て各自で取り分ける。陽気な雰囲気の曲であり愉快そうな歌詞の合間に「ノン・ノン・ノン」、「ウイ・ウイ・ウイ」という合いの手を入れる。その時に両手に持ったナイフとフォークの背でテーブルを叩いて「トン・トン・トン」と鳴らす。
サラダとスープが行き渡ると隣の熱心なキリスト教徒の学生が感謝の祈りを捧げた。それから彼は「今日も一日無事であったことを神に感謝します」というような言葉を周囲に向かって投げかけた。それに対してスイス人の女子学生がまぜっかえしてケラケラ笑っている。しかし男子学生は生真面目に二人の女子学生に何か聖書の言葉を引用して諭しているようだった。このやりとりをベトナム系の学生が英語で私に教えてくれた。
ベトナム系学生によるとその男子学生は大学でも時間があれば祈ったり聖書を読んでいるほど熱心なキリスト教徒であると。夕食後部屋に戻りベッドに腰かけながら二人の男子学生とおしゃべりした。熱心なキリスト教徒の学生が純真に素朴に神を信じていることが痛いほど伝わってきた。「皆が神を信じて神の摂理に従って正しい行動をすれば理想の社会が実現できるのです。そのためには自分を犠牲にすることも覚悟しています」とフランス訛りの英語で訥々と一生懸命話してくれた。