雨上がりの林道を独行するフランスの老婦人。ビニールケースに当日歩くコースの地図と高低差を表した断面図を携帯。地図にはお店、水場、宿屋などの詳細も。手にしている杖は沿道の土産物屋、雑貨屋、宿屋で6~8ユーロで売っている。
このあたりは標高1000mから1500mくらいの丘陵地帯と渓谷が続いており一日に私は10キロ~20km歩いていたが、それはフランス人のお婆さんと同じくらいの距離ということになる。こうして何度か会う人達とは巡礼者としての連帯感や親近感が生まれてくる。
夕食に旧修道院の大食堂に行くと80人以上が長テーブルに並んでいる。ボランティアのお爺さんに案内されて席につくと馴染みの顔が何人か並んでおり挨拶する。例により赤ワインは飲み放題。修道院のワイナリーで醸造されたらしい。ボトルが空くとどんどん新しいボトルをボランティアのお爺さんが嬉しそうに持ってくる。「巡礼の成功を祈り、乾杯!」「再会を祝して、乾杯!」などとやっているうちに気持ちよく酩酊。葡萄酒という“神様の恵み”に感謝。
(写真左)Estainの街並み。やはり中心に聳えるのは教会の尖塔だ。(写真右)Estainの「中世の橋」
巡礼道の水飲み場とトイレ。このように整備された水飲み場やトイレはほとんどない。
日本人はパンダ並みの“希少種”
聖ヤコブのオブジェ。巡礼道沿いには様々な聖ヤコブ像が立っている。
4月25日から二週間近く歩いて分かってきたのは欧米人が圧倒的多数の巡礼者のなかでは日本人は珍奇な存在で好奇心の対象ということである。巡礼宿のオーナーから何度も日本人巡礼者は初めてだと言われた。また数年前に日本人が来たと昔の宿帳を見せてもらったことも。
また民営巡礼宿で次の町の巡礼宿の予約を依頼すると電話口で「タカという日本人の面白い奴が行くからよろしく頼む」と嬉しそうにながながと説明している。巡礼者は概して日本人と知ると大喜びで「どうして日本人が巡礼するのか」「どうやってサンチアゴ巡礼を知ったのか」など毎度お馴染みの質問を浴びせてくる。