道端のキリスト像
ヨーロッパでは歴史を捏造(forge)するのは当然
アナはどんな問題でも自分なりの見解を持っていた。私が「第二次世界大戦でフランス軍は実質的にドイツと戦っていないのに戦後フランスは対独戦争の勝利者として振る舞っているのはおかしい。」と疑問を呈したらアナは「当然よ。ヨーロッパでは歴史を捏造したり隠したりするのはどこの国も同じよ」と切って捨てるように断言。
草叢を歩くオジサン
アナ曰く「フランスでは第二次大戦当時ヒトラーのシンパが沢山いたのよ。だからカトリックを信仰する保守派が多い中南部フランスではナチスに協力するビシー政権が成立したのよ。そしてフランス人のヒトラー信奉者の義勇兵部隊が組織されて東部戦線でソ連軍と戦ったのよ。だからフランスの対独戦争なんて戦後に造られたレトリックだわ。戦争が終わってからパリを中心とするプライドの高いフランス人達が“対独レジスタンス闘争”だとか“対独戦争”なんていうストーリーを捏造したのよ」
引退したアメリカのカップル。男性の前妻との間にできた息子の嫁が日本人だったが離婚して京都に戻ったとのこと。 欧米人の中高年カップルの家族関係は複雑で慣れないと理解し難い。来年はカップルでペルーで英語を教えるボランティアをする計画という
「“フランス人みんなでナチスドイツと戦って勝利した”というストーリーならばフランス人として誇れる歴史になるからよ」
私が唖然として聞いているとアナはさらに「スペインでも似たようなものよ。スペイン内戦ではナチスの支援を受けた王党派とソ連の支援を受けた左派市民連合が殺し合ったのよ。当然、今でも内戦のことを語るのはタブーよ。当時の王党派や左派の子孫は当然のことながら相手方の子孫を憎むわ。だからスペインの学校では内戦の背景や原因に触れざるを得ない近現代の歴史は教えることができないの。だから学校の歴史教育では大航海時代・世界帝国建設までをしっかりと教えるだけ」