2024年11月24日(日)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年6月28日

 〝Let Trump Be Trump(トランプはトランプらしく)〟を提唱してきたルワンドウスキの戦略も変わった。マナフォートの起用以降、トランプの振る舞いは大統領らしく変化しつつある。エスタブリッシュメントやインサイダーへの国民の不満や不信感が高まる中、その象徴とみなされているプロンプターを最近になって使い始めた。他候補者と自らの支持率を並べ立てるだけであったスピーチの冒頭部分も、ペンシルヴァニア州においては、どれほど製造業が失われたかという具体的な数値に言及している。

 「クリントン対トランプ」で、本選が始まれば、〝ジェンダー・カード〟の切り合いになるだろう。〝女性のカード〟を切るクリントンに対抗するため、トランプはビル・クリントンの不倫問題についても言及し始めている。

 さらに、大統領は米軍の最高司令官でもあり、感情的というレッテルを貼られがちな女性は不適格とみなす人もいる。トランプは女性蔑視発言を繰り返し、〝男性のカード〟を切ることで、頼もしく安全保障に強いイメージを打ち出しており、安全保障に敏感に反応する主婦層、〝セキュリティー・ママ〟にもアピールしている。

 エスタブリッシュメント、インサイダーに加え、ビル・クリントン時代の〝重荷〟まで背負うヒラリー・クリントンに対し、〝重荷〟がないのもトランプの強さだ。現状では、最終的にトランプではなくクリントンが勝つ、と簡単に言うことはできない。

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■特集「MAKE AMERICA GREAT AGAIN! 知られざるトランプ」
  ・8つの名言でトランプをもっと知る
  ・すべては客のニーズ次第 貴族からアジテーターへの転向
  ・「強い」オバマがつかんだ新潮流に乗っかるトランプ
  ・「勝ち馬」に乗らざるを得ない 共和党の深刻な分裂
  ・世界はトランプをどう見ているか
  ・在日米軍は本当に撤退できるのか
  ・勝敗分けるは選挙参謀 苦戦するクリントンの弱み 
 

  
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◆Wedge2016年7月号より

 


 


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