『いわきより愛を込めて』

2016年7月8日

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 漠然と、避難生活はどうですかと質問してみた。

 「どうって……必死だったから何も考えてない。たださ、阪神淡路とか奥尻のことは、他人事だったなーと思うよ。まさか自分が避難するとは思わなかったよ」

 いわきの仮設住宅を見に行ったが、想像していたよりもはるかにペラペラな造りである。耐用年数は2年。福田さんはそこに4年以上住んでいる。この先、どうするのだろうか。

 「そんなこと、こっちが聞きたいよ。仮設をいつまで置いとくんだよ、復興公営住宅早く作ってくれよって思うけど、(いわきに)土地は買収したみたいだけどまだ草が生えてるだけだからね。どうせこのままなんじゃないの、きっとこのままだよ。双葉がこの先どうなるのかだって、誰も本当のことは知らないんだから」

自分のアルバムを消される

 福田さんは前述の通り、仮設住宅で故郷双葉町の祭り、「ダルマ市」を復活させた。今年1月11日に仮設住宅で開催されたダルマ市には、7000人近い見物客が訪れたそうだが、福田さんはなぜ、この祭りを企画したのだろうか。

 「俺は双葉の病院でオギャーと生まれてから一度も双葉を出たことがなくて、双葉の神社の境内とか公園で遊んで育ったわけですよ。でも、会社のメンバーは半分ぐらいしか戻ってこないし、同級生もバラバラだし、もう自分のアルバムを消された感じなんだよ。

 俺はまだ45歳だからいいけどさ、じっちゃんやばっちゃんはどうすんだ。俺たちが受け継いできたダルマ市とか盆踊りをやってやんないで、震災で何もかも終わっちゃったでいいのかって。これは使命感を持ってやるべきことだと、俺は思うんだよね」

 福田さんによれば、ダルマ市は正月の終わりを告げる祭り、盆踊りはお盆の終わりを告げる行事であると同時に、稲刈りの始まりを告げる行事でもあった。だから露店には鎌が並んだ。

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