世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月29日

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 ウクライナでは東ウクライナでの戦闘に終止符を打つための「ミンスク合意」(2015年2月)に違反しており、ウクライナ政府側と親ロシア勢力の間の戦闘は再び勢いを増している。

 5月中旬には、バルト諸国に接近中のロシア軍輸送機3機を英国の戦闘機が止めたし、4月29日にはロシアの軍用機が米軍戦闘機の100フィート以内に近づき、宙返りをするという危険な行動に出たし、それから2週間後にはロシアの軍用機2機が米軍駆逐艦の至近距離を11回もかすめて飛んだ。

 これは、米軍が瞬時の判断で抑制したから大事に至らなかったものだが、米軍はいつも抑制するわけではない。

ロシアへの懸念を強めるNATO

 このように攻撃的なロシアに対し、東欧・バルト諸国は懸念を強めている。そのためNATOは約1000人からなる戦闘大隊を1個ずつポーランド、リトアニア、ラトヴィア、エストニアに配備する構えである。うち2個大隊は米国、1個ずつをドイツと英国が提供する。

 NATOはさらに、イランのミサイルから欧州を防衛するためのミサイル防衛システムを推進している。ルーマニアの基地が稼働したし、ポーランドでは起工式が行われた。

 プーチンは、冷戦後大きく非軍事化したNATOを脅威と見誤り、強面政策に訴えてきたことによって、NATOを再強化してしまったのである。

 NATOは7月、ワルシャワで首脳会議を行う。6月にはウクライナ侵入に対するロシア制裁の期限が切れるが、NATO首脳会議ではその延長の決意の堅さを確認するべきである。他方、NATOはロシアとの対話のチャンネルは維持しておくことが望ましい。プーチンの方は、西側に譲って、ロシアの経済を石油依存から解放し、西側と建設的に協力することによってこそ、彼の切望しているロシアの国際的地位の向上を勝ち取ることができる。

出典:‘Vladimir Putin’s Dangerous Obsession’(New York Times, May 19, 2016)
http://www.nytimes.com/2016/05/19/opinion/vladimir-putins-dangerous-obsession.html

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