【五輪現地ルポ】リオデジャネイロはいま

2016年6月29日

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佐々木正明 (ささき・まさあき)

ジャーナリスト、大和大学社会学部教授

1971年岩手県生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒業後、産経新聞社に入社、大阪社会部、モスクワ支局長、リオデジャネイロ支局長、運動部次長、社会部次長を歴任。特派員として五輪・パラリンピックやサッカーW杯を取材した。2021年春から現職。著書に『恐怖の環境テロリスト』(新潮新書)、『シー・シェパードの正体』(扶桑社新書)。

 昨年、デング熱は160万人が感染し、死者は839人。過去最悪を記録し、今年はそれを上回るペースで感染者が出ている。多くのブラジル人は「ジカ熱よりデング熱の方が怖い」と思っている。

 さらに、チクングニア熱は前年同期比で感染者数が約6.6倍に膨れあがっており、サッカー男子の試合が行われるバイーア州がブラジル全州の中で最も件数が多い。

 ジカ熱に気を取られ、デング熱やチクングニア熱への警戒を怠ってはならない。ブラジルは冬を迎え、蚊は減ってきているものの、リオデジャネイロは8月でも気温30度を超すことがあり、選手たちも蚊への対策は十分にしなくてはならないだろう。

次回開催国・日本の役割

(5)盛り上がりに欠ける

 リオデジャネイロでは五輪間近になっても、市内では看板の設置や関連イベントは極端に少なく、街の盛り上がりが欠ける状況にある。

五輪開催を前にオープンした新型路面電車。しかし、リオの街中では大会に向けた盛り上がりは見られない

 取材していても、リオ五輪を映し出す写真ポイントがなかなか見つからない。一方で観戦チケットの売れ行きは芳しくなく、十分に余っている状況にある。人々に五輪を楽しむ経済的なゆとりがないのかもしれない。

 リオに暮らす多くの日本人が「東京の方があらゆる意味で盛り上がっている」と揶揄している。ブラジルの政治や経済の混乱が、社会の雰囲気の醸成にも大きな影を落としている。

 しかし、こうした盛り上がらない状況は2年前のサッカーW杯の時にも見られたといい、ブラジル人の国民性を表しているという人もいる。

 今、ブラジル全土を旅している聖火リレーが大都市のサンパウロや地元のリオデジャネイロ州内に入ったとき、どうなるかが試金石となるだろう。

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