組織委員会としては、観客席に空席が目立つ大会にだけはしたくないだろう。
* * *
リオデジャネイロを取り巻く5つの懸念を説明してきたが、最後に、一つ付け加えたいことがある。
リオはこれまでの先進国の他の開催都市に比べると、安定や安全にかけ、今回、「混乱の五輪」として人々の記憶に残るかもしれない。
リオデジャネイロの夜景。五輪期間中、訪れた人々は何を目撃するだろうか
しかし、オリンピックのレガシー(遺産)は、子供たちに将来の種をまき、平和の祭典だからこそ、貧困や戦争に苦しむ人々に大きな希望をもたらす。
ファベーラに住み、犯罪に手を染めるだけの暮らしだった子供たちに、スポーツの力で夢を与えることがどんなに素晴らしいことか、そして、そうした取り組みこそがひいては世界に波及し、平和の貢献につながることをかみしめるべきだ。
こうした困難な時期だからこそ、世界中の人々が手を取り合って協力し、リオ五輪を成功に導くことが国際社会の責務なのである。特に次回開催国の日本の役割は大きいはずだ。リーダーシップを果たしてほしい。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。